富士山登山記(未達(ノ_・。))


【DATA】
登った日  2004/7/17(土)〜18(日)
お天気   おおむね曇、一時雨、強風
メンバー   4名(ツアー人数38名)
行動時間  約6時間半(休憩含む。仮眠時間含まず)

ハード度(主観)   ★★★★☆

■ルート■<>は予定ルート
新宿よりバス⇒5合目(河口湖口)(2300m)⇒8号目山小屋(太子館)にて仮眠(3100m)⇒<山頂(3776m)⇒>下山⇒5合目⇒バスにて温泉へ(山中湖)⇒バスにて新宿へ

いよいよ富士山へ登頂する日がやってきました!日ごろの(わずかながらの)トレーニングにより、頂上まで行く体力・筋力・持久力は養われたのか、高山病にはならずにいけるのか、ドキドキの登山でした。
しかし、結果から言うと、未達に終わりました。
言い訳ですが、これは私の体力や高山病のせいではありません。あまりの強風のため、ツアーとして8合目から先の登山は中止となったためです。
というわけで、「富士登山」といえるものではありませんが、一応記録を残したいと思います。
写真はおおむね、Yocchy撮影です。感謝申し上げます。
なお、来年もリベンジします!

【きっかけと登山まで】
これまで高尾、大山という低山に登ってきた。もともとインドア派の私が、なぜ急に登山など始めたのか、と周囲の誰もが疑問に思ったようだ。
しかし、登山を始めたいと思ったわけではない。富士山に登ることにしたので、体力的に自信がないからトレーニング登山をしていたまでだ。
(とはいっても、あまりに道具に金をかけすぎたので、今後も登山を続けるつもりではある。)
そもそもなぜ富士登山などする気になったのか?私の記憶では昨年の9月ごろだろうか、YocchyのHPのBBSで富士登山の話が出ていて、「みんなが行くなら行く」とレスしたことが発端だったように思う。TVでとってもキツそうな光景を見ていたからかなり悲観的なコメントもしていたはずなのだが、なんとなく「キツいからやめる」ともいえなくて、行くことに決めてしまったようだ(とってもあいまい)。

TVではSMAPが非常に苦しそうに登っていた。体力のありそうな彼らが、だ。日ごろ運動など全くしていない私が、あんなものに耐えられるのか?
ということで、
@少しでもラクに登れるように、道具をきちんとそろえる
A少しでもラクに登れるように、トレーニングをする
ことに決めた。
そこで、5月某日、道具を購入。
(道具のあまりの高さに、この日は最低限のものしか買わなかったが、後にあれもこれも買い足していった。10万円は下らない。)
靴の履き慣らしをかねて、購入後トレーニングを開始。
といっても、平日は会社の階段の上り下り、土日にウォーキングやランニング、そして低山を登山、といった程度だったが。
そして、いよいよ登山日を迎える。

【登山まで(7/17)】
私たちははとバスツアーで行くことになっていた。ルートは上記のとおり。
ツアーでは5合目までの送迎のほか、山小屋の手配、それより何より、山岳ガイドが一緒に登ってくれるのだ。これは心強い味方。

当日は新宿に6:40集合。余裕を持って出たら、遅刻派(なんだそれ)の私がなんと6:15に集合場所についてしまった。
どうせ山スタイル、地面に直接腰を下ろし、ぼーーーーーっとしていたらとてが登場。続いてよち登場。
6:35になってもgが現れなかったが、道に迷っていたらしく、定時には到着。
それからツアーの全員が集まるまで7:20まで待たされ、ようやく出発。
3連休の初日だったため、中央高速が渋滞していた。こんなので着くのかなぁと不安に思ったが、大月を過ぎたあたり?で急速に流れ出す。
途中、車窓からきれいな富士が見えた。添乗員いわく、この時期にこんなにくっきり見えるのは珍しいとのこと。「この天気が続くといいですね」
祈りむなしく…


12:00頃無事5合目に到着。それから昼食をとり、荷物を整え、13:00頃登山開始。

【登山開始〜山小屋(7/17)】
我々のツアーは、河口湖口から登山。富士山には4ルートあり、このほか富士宮口、須走口、御殿場口ルートがある。
河口湖口は中央道から行きやすいことから首都圏の登山者が多く、また、頂上まで行かなくてもご来光を拝めることから、おおかたのツアーは河口湖口ルートをとる。
河口湖口のはじめはゆるやかな下り。しかし、歩いてみると、私にはあまり下っていると感じられず、ほとんど平坦に思われた。(しかし、下山時には登っているとはっきり感じられた。)山中湖が三日月型にきれいに見える。


のろのろと下ること30分、「5分休憩しましょう」とガイドさん。
え、全然疲れてないよ!しかもまだ30分だし!
しかし、富士山では高山病を防ぐため、ゆっくり登るのが鉄則。5合目ですでに2300mあるのだ。じれったいくらいゆっくり、ゆっくり、休憩をこまめにとりながら登る。休憩ごとに、水分やお菓子(すぐにエネルギーに変わるよう、甘いもの)をとっていく。
下りが終わった後は6合目まで、緑に囲まれた中を気持ちよくゆっくり登っていく。ときどき、登山者を乗せた馬も歩いていく。
あっという間に(約40分)6合目に到着。


6合目に着いたとたん、すごい強風が吹いている。富士山はさえぎるものがないから風が強いと聞いている。なるほど、これか。天気も曇ってきて、肌寒い。
上を見ると、7合目の山小屋が小さく見える。
 

6合目からは岩場が始まる。山腹にの斜面にジグザグに登山道がある。ここもゆっくりゆっくり登っていく。あえてペースを落としていることもあるが、連休のため混雑していて、早く進めない状況でもあった。9合目あたりからは列をなして人の渋滞だと聞いていたが、下の写真を見てわかるとおり、7合目からすでに渋滞が始まっていた。9合目につくころはどうなるんだろう?
6合目の途中だったか、遠くにちっちゃく赤い鳥居が見える。あれが7合目の上の方らしい。私たちが宿泊する山小屋がある8合目は全く見えない。ちょっとうんざり。
15:00頃、7合目到着。


7号目からは岩場の傾斜もきつくなってくる。段差がありすぎて、ストック(杖)は逆に使いづらい場所も出てきた。
何より、風が強い。ときおり吹く突風に体がぐらっとくることが何度かあった。怖い。
7合目の鳥居を過ぎ、上をみると、「本8合目」という文字がくっきり見える。しかし、その下に「太子館」という文字が見える。今日泊まる山小屋だ。
なーんだ、もうすぐじゃん!体が痛いこともなく、息が切れることもなく、らくらくと8合目だ。


しかし、風はいっそう強くなる。突風が吹くときには、岩にしがみついてじっとしていなければならない状態だ。これが富士山の強風か、夜間にこの状態では、恐ろしいな、と思っていると、ガイドさんたちが「すげぇ強風だったな」とかなんとかしゃべっている。「いつもこんなですか」と聞いてみたら「いつもこんなだったら大変ですよ!」と答えが。富士山は強風とはいえ、これは通常ではないらしい。ほっとするような、不運に嘆くような…
17:00頃?、山小屋「太子館」に到着。あんなに渋滞していたのに4時間で着くとは、意外。

【山小屋(7/17〜18)】
山小屋につくと、まず寝場所をあてがわれる。入った順に場所が決まるので、連れは続いて入らねばならない。
私たちの泊まった太子館は、一人1つずつ寝袋があり、場所も3人で2畳と比較的ゆったりしている。しかし、布団ではないので、少々背中は痛い。
荷物を整理し、夕食。夕食はカレーとおかず少々。おいしくはないが、しかたない。しかも次々登山客がくるので、早く食べて出て行け、とせかされる(ノ_・。)
食べているときに翌日の行程についての話があった。23:30に山小屋を出発し、山頂を目指す。ただし、「このまま強風が続けば、ツアーとして登山を断念することもある。」とも。
確かに、強風は怖い。さっきも体がぐらっとしたり、つかまってじっとしていなければやりすごせないこともあった。
しかも、夜間は足もとしか見えない。つかまる岩もきっと見えない。さらに、他人が倒れてきて巻き添えになる可能性だってある。
登れないのは残念だが、強風のなか決行されるのも怖いので、なんともいえない複雑な気持ちになった。
食べ終わると、翌日の朝食にと、サンドイッチと釜飯を渡される。釜飯、熱いんだけど…今熱くてもしょうがないんだけどヾ(;´▽`A``

寝場所に戻って18:30頃就寝。そうはいっても、こんな時間ではなかなか眠れない。足も冷たいし。そこで途中であったかいスリッパを履いてみた。
するとあったかくなってうとうと。部屋全体が人の熱気であったまってきたせいもあったが。
外ではまだ風がうなっている。おさまってくれよー!

22:00頃、よちととてがごそごそ何かをやっている。聞いてみるとトイレにいくという。出発直前は込むから、早めに行っておくのだ。一緒に出た方が迷惑をかけないので、私も行くことにし、ついでにコンタクトをはめることにした。
コンタクトをはめていると、通りすがりのおじさんが「あなた、コンタクトはめてるの?」と聞いてきた。
「頂上に行くんだったら、この強風ではコンタクトはだめ。目に砂が入っていたくてたまらない。涙が出てきて、コンタクトがはずれ、風でふきとばされる。」
頂上で裸眼になったら、自殺行為。幸いめがねを持ってきていたので、コンタクトは断念。おじさん、ありがとう!
(でも結果的には登らなかったのでコンタクトでOKだったんだけどね。)

23:00頃、心配だからもう1度トイレに行こう、と出て行こうとすると「説明があるから部屋にいてくれ」と押しとどめられた。
説明?いやな予感…
待っていると、ガイドさんと添乗員さんが入ってきた。説明は、
「今、この山小屋では最大瞬間風速20mの風が吹くことがある。山頂では平均で20mの風が吹いている。この状態では山頂を目指すことはできない。本8合目(山小屋より上)まで行ってしまうと、断念しようにも下山道へ回れない。風をよけようにも、この大勢では入れる場所がない。吹きさらされていれば、体温はどんどん奪われていく。体感温度は-17℃だ。よって、今は登れない。暫定的に出発を2時間遅らせる。2時間後、天候が回復していれば山頂を目指す。」
うーん、予想通り。

それから2時間、さらに仮眠。しかし、外の音はますます強くなってきた。ピューとかいう音も混じってくる。これは多分、だめだな…と思いながら寝ていると、1:00頃、またガイドさんたちがやってきた。来た、というだけでもうだめなのがわかる。
私ととては「じゃあさー、ご来光はいいから明るくなってから勝手に頂上目指そうよー」「離断届け(山頂まで行けずにツアーを離れ下山した人が出す届け)出して行っちゃえばいいんじゃない?」と話しあっていた。
ガイドさんが説明を始める。
「状況はさらに悪化した。山頂では33mの風が吹いている。小石が飛んでいる状態。全ツアーは登頂を断念する。
ここからツアーを離れて勝手に登頂を目指した人がいたが、強風にあおられ、滑落して即死したことがあるので、決してそのようなことはしないでほしい。」
まさにさっき話していたことだ!滑落、即死!やけになまなましく聞こえる。
そして、4:30に山小屋でご来光を拝み、下山することに決定。
このとき、まだ外は晴れている。下界の夜景がきれいだ。これほど綺麗に見えるのは珍しいという。


4:00すぎまでさらに仮眠タイム。
18:30から寝てるんだよね、もういい加減寝あきたんだけど…
と思ったが、だんだん図々しくなってきて、起こされるまで3時間熟睡!

4:00頃、さあ、下山するからトイレ!と思ったらまたも「混んでるので」と押しとどめられた。混んでるからって、あーた、ご来光に間に合わないじゃないのよ!と思ったら、今度は雨まで降ってきて、ご来光は拝めないのだった。サイアクだ。
雨対策をばっちりして、4:30過ぎに小屋の外に集合。5:00頃無念の下山開始となった。

【下山(7/18)】
登り終わったとき、どこも痛くはなかったものの、一晩寝たらどっか痛くなるかも?と思ったが、幸いどこも痛くなかった。トレーニングの成果だ!
(みんなも痛くなかったみたいだけどw)
下山道はざらざらとした赤土の砂利道。登山よりも速く、休憩も少ない。滑りやすいので転ばないよう注意しながら下っていく。
下山は砂埃がすごい、と聞いていたのでマスクも用意していたのだが、雨だから不要だった。
途中、朝日が山中湖に差している美しい光景に出会う。


2時間半くらいで下山。7:30頃、5合目到着。


【下山後(7/18)】
下山後は、荷物を整え、朝食を食べ、お土産を買って、9:00にバスに乗車して、出発。それから山中湖の温泉へ向かい、疲れをとるのだ(疲れてないけど)。
温泉に着くと、こちらも大混雑。洗い場を確保するのに、裸の行列ができている!こんなの初めてだ。
とにかく、さっさと洗い、さっさと浸かり、化粧をし、髪をかわかして脱出。
それから40分程度待たされて、バスに乗車。いざ新宿へ!
新宿には15:00に着いてしまったので、しばらくお茶をして、16:30から飲み。最初は、疲れているから正直言って、さっさと飲んでさっさと帰りたい!と思ったけれど、飲み始めたらなんだか楽しくて、風船人形を作ったりしながら、4時間くらい飲んでしまったw 単なるオフみたいだった。

今年は惜しくも登頂ならずだったが、来年は絶対リベンジします!
この混雑を避けるため、日曜日出発のツアーで、もう少し快適に行きたいと思う。もちろん、トレーニングもかかさずに!


☆おまけ☆

我々が登頂断念を余儀なくされた7/18早朝の富士の画像がこれ(どこが富士w)。


ちなみに前日だとこんな感じ。